自分がどうなっているかも分からなかった。ブラックアウトしていることも分からなかった。
ふいに視界がぼんやり戻って、なんかカーキ色の布と縫い目が見えた。
「足もって、そっち。そっと寝かせて」
先生の声? あ、ひょっとしてこれは、先生の股間だろうか? 股間っつーか、ズボン。なんで下から眺めているんだ自分は。
ん? 下から先生の股下を見上げているということは、先生が佐藤の頭を、跨ぐような形で両手で抱えている? あれ? 先生、この機械の向こう側に座ってたんじゃなかったっけ?
そこでまた意識はシャットダウンする。
先生のズボンの色が分かったということは、いつの間にか部屋の明かりが点けられたということだが、気持よく失神している佐藤には、部屋の明かりが点いていようが消えていようが関係無かった。
意識も視界も真っ暗だ。真っ暗だと意識することも、ナイ。
次に意識が戻った時は、周りが騒がしかった。
なんかすごく、人がたくさんいるような気配がする。この部屋狭いのに。たくさんの声とたくさんの手がぼんやり見えた。
「佐藤さーん! 大丈夫だよ! 心配しないで!」
「緊張しちゃったのかな、佐藤さん、心配しないでいいからね!」
いや看護師さん達こそ、心配しないで大丈夫ですよ、佐藤は元気です。あれほど酷かった頭痛もまったく感じてませんよ、ご安心ください。
しかし声が出ない。
「ストレッチャー持ってきた? すぐ乗せますか?」
「まだちょっと待って! そっち持って! 靴脱がせて」
しまった、もっとお洒落な靴でも履いてくるんだった。仕事を抜け出してきたから、おっさんサンダルのままだよ、佐藤のアホ。
「準備OKです!」
「よし載せよう」
あ、大丈夫です、自分で乗れますから。なんかすみません、迷惑かけちゃって。
まじで思ってまじで自分で乗るつもりだったが、相変わらず体はぴくりとも動かないし、声も出ない。
視界が明るいので目は開いているはずなのだが、看護師さんたちは佐藤の意識が戻っていることに気づいていないようだ。
そして気づいていないわりに、絶えず話しかけられる。
「心配しなくていいからね、佐藤さん!」
「大丈夫ですよ佐藤さん!」
そして「緊張しちゃったんだよね、佐藤さん」と何度も何度も「緊張しちゃったのね」みたいなことを、言われた。
緊張したというか、むしろリラックスしすぎて、待っている間は船を漕いでいましたが――。
「はい、持ちあげるよ! いち、に、さん!!」
ぐわっ、と体が宙に浮いた。
いつの間にか、佐藤の体の下にはシーツらしきものが敷かれていて、看護師さんたちは大勢でそのシーツの端を掴んで佐藤の体を一気に持ち上げると、何かの上に寝せた。
これがストレッチャー? 目玉も動かせないのでよく分からん。
相変わらずぴくりとも動けず、佐藤は目を開けたまま、ひたすら天井を見ていた。
糖尿病になってから体重はかなり減ったが、まだだいぶ重いはず。あ、そうか、だから看護師さんが大勢いるの? 佐藤の体を持ち上げるのが大変だから?
なんかすみません、重くてすみません、ホントすみません、もちょっと頑張ってダイエットしとくんだった。
そんな場合ではないのだが、そこは腐っても乙女。
「おっさん」女の佐藤でも、やっぱり乙女だった。
ここで流れを読まず、晩御飯写真。
写真、いっぱい溜まっているので。
★さけ、サラダ、付け合せ、煮浸し、大根葉炒め
煮浸し。ちっさい玉ねぎ丸ごとと、ちっさい里芋。減塩麺つゆ。
大根葉と油揚げ。
ナス1/2のお浸し、トマト
★シチュー、サラダ、お浸し、大根葉
シチューは妹の手作り鶏肉団子が二個入っている。美味い。ありがとう妹よ。
大根葉は前日の使い回し。
そしてナス1/2のお浸し、トマト。メニュー考えるの大変だし、まだナスが残っているから
ピクルス作った。
水 180cc
酢 200cc
砂糖 大さじ4
塩 小さじ2
マスタード お好み
全部鍋に入れ、軽く沸騰したら冷まして、入れる。
砂糖は希少糖で
塩は減塩しおで
酢は米酢がいいらしいが、糖尿病患者は穀物酢がいい。
いつもお世話になっている妹に一瓶おすそ分けした。
まずかったらすまぬ、妹よ。
ピクルス作ってて時間がなかったのと、仕事が忙しかったため、今日は手抜き。
★パン、サラダ、カフェオレ
パン8枚切り二枚 薄切りトマトとハム、チーズ、レタス、目玉焼き
豆腐のサラダ
無糖カフェオレ、低脂肪牛乳少し
普段に比べるとかなり手抜きなのに、こっちのほうがお腹いっぱいになった。
どういうことなの……。
普段の努力が報われねえじゃねえかよ。
散歩。
お月様がきれいだ。
明日は皆既月食だ。
赤い月が見れるのは、午後7時半~8時半らしい。
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ふいに視界がぼんやり戻って、なんかカーキ色の布と縫い目が見えた。
「足もって、そっち。そっと寝かせて」
先生の声? あ、ひょっとしてこれは、先生の股間だろうか? 股間っつーか、ズボン。なんで下から眺めているんだ自分は。
ん? 下から先生の股下を見上げているということは、先生が佐藤の頭を、跨ぐような形で両手で抱えている? あれ? 先生、この機械の向こう側に座ってたんじゃなかったっけ?
そこでまた意識はシャットダウンする。
先生のズボンの色が分かったということは、いつの間にか部屋の明かりが点けられたということだが、気持よく失神している佐藤には、部屋の明かりが点いていようが消えていようが関係無かった。
意識も視界も真っ暗だ。真っ暗だと意識することも、ナイ。
次に意識が戻った時は、周りが騒がしかった。
なんかすごく、人がたくさんいるような気配がする。この部屋狭いのに。たくさんの声とたくさんの手がぼんやり見えた。
「佐藤さーん! 大丈夫だよ! 心配しないで!」
「緊張しちゃったのかな、佐藤さん、心配しないでいいからね!」
いや看護師さん達こそ、心配しないで大丈夫ですよ、佐藤は元気です。あれほど酷かった頭痛もまったく感じてませんよ、ご安心ください。
しかし声が出ない。
「ストレッチャー持ってきた? すぐ乗せますか?」
「まだちょっと待って! そっち持って! 靴脱がせて」
しまった、もっとお洒落な靴でも履いてくるんだった。仕事を抜け出してきたから、おっさんサンダルのままだよ、佐藤のアホ。
「準備OKです!」
「よし載せよう」
あ、大丈夫です、自分で乗れますから。なんかすみません、迷惑かけちゃって。
まじで思ってまじで自分で乗るつもりだったが、相変わらず体はぴくりとも動かないし、声も出ない。
視界が明るいので目は開いているはずなのだが、看護師さんたちは佐藤の意識が戻っていることに気づいていないようだ。
そして気づいていないわりに、絶えず話しかけられる。
「心配しなくていいからね、佐藤さん!」
「大丈夫ですよ佐藤さん!」
そして「緊張しちゃったんだよね、佐藤さん」と何度も何度も「緊張しちゃったのね」みたいなことを、言われた。
緊張したというか、むしろリラックスしすぎて、待っている間は船を漕いでいましたが――。
「はい、持ちあげるよ! いち、に、さん!!」
ぐわっ、と体が宙に浮いた。
いつの間にか、佐藤の体の下にはシーツらしきものが敷かれていて、看護師さんたちは大勢でそのシーツの端を掴んで佐藤の体を一気に持ち上げると、何かの上に寝せた。
これがストレッチャー? 目玉も動かせないのでよく分からん。
相変わらずぴくりとも動けず、佐藤は目を開けたまま、ひたすら天井を見ていた。
糖尿病になってから体重はかなり減ったが、まだだいぶ重いはず。あ、そうか、だから看護師さんが大勢いるの? 佐藤の体を持ち上げるのが大変だから?
なんかすみません、重くてすみません、ホントすみません、もちょっと頑張ってダイエットしとくんだった。
そんな場合ではないのだが、そこは腐っても乙女。
「おっさん」女の佐藤でも、やっぱり乙女だった。
ここで流れを読まず、晩御飯写真。
写真、いっぱい溜まっているので。
★さけ、サラダ、付け合せ、煮浸し、大根葉炒め
煮浸し。ちっさい玉ねぎ丸ごとと、ちっさい里芋。減塩麺つゆ。
大根葉と油揚げ。
ナス1/2のお浸し、トマト
★シチュー、サラダ、お浸し、大根葉
シチューは妹の手作り鶏肉団子が二個入っている。美味い。ありがとう妹よ。
大根葉は前日の使い回し。
そしてナス1/2のお浸し、トマト。メニュー考えるの大変だし、まだナスが残っているから
ピクルス作った。
水 180cc
酢 200cc
砂糖 大さじ4
塩 小さじ2
マスタード お好み
全部鍋に入れ、軽く沸騰したら冷まして、入れる。
砂糖は希少糖で
塩は減塩しおで
酢は米酢がいいらしいが、糖尿病患者は穀物酢がいい。
いつもお世話になっている妹に一瓶おすそ分けした。
まずかったらすまぬ、妹よ。
ピクルス作ってて時間がなかったのと、仕事が忙しかったため、今日は手抜き。
★パン、サラダ、カフェオレ
パン8枚切り二枚 薄切りトマトとハム、チーズ、レタス、目玉焼き
豆腐のサラダ
無糖カフェオレ、低脂肪牛乳少し
普段に比べるとかなり手抜きなのに、こっちのほうがお腹いっぱいになった。
どういうことなの……。
普段の努力が報われねえじゃねえかよ。
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お月様がきれいだ。
明日は皆既月食だ。
赤い月が見れるのは、午後7時半~8時半らしい。
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